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2009年07月29日

【写真展】

現在、下記のお店で写真展(ミニ写真展)をしています。
規模は、小さなものですので、お近くにお寄りの際にご覧下さい。
内容は、『野良しごつ』です。

写真展 (ミニ写真展)

高千穂峡 観光協会売店内  ~9月下旬まで
宮崎銀行 高千穂支店     ~8月7日まで


写真の販売

高千穂大橋そばのあるおみやげ一久で、おみやげ用の写真の販売を始めました。
ミニギャラリーっぽくなってます。

おみやげ一久
住所 : 宮崎県西臼杵郡 高千穂町大字押方 1248−2
TEL: 0982-72-5111

http://www.pawanavi.com/hyuugajikan/archives/2007/04/post_176.html 

2009年07月12日

藤木が案内する高千穂の旅 【パワナビ】

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久しぶりのパワナビ・レポートです。

タクシーを使って旅をするという企画で、今回は、私(藤木テツロー)が、特にお気に入りの高千穂を紹介しています。どうぞ、お楽しみ下さい♪ 


タクシーで行くシリーズ vol6 ~ 高千穂町マニアック観光その2 
http://www.pawanavi.com/view/archives/2009/07/_vol6.html

2009年07月09日

『現代農業』8月増刊号で近況報告 

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『現代農業』8月増刊号


『現代農業』8月増刊号のリレー日記、すてきな“すきま仕事”のコーナーで、2P書きました。
内容は、『日向時間』創刊から、これまでの流れ、近況報告のようなものです。
ま、僕のことはさておき、今回の8月増刊号は、読み応えがあります。

【農家発・若者発 グリーン・ニューディール 地域雇用の実践と提案】という題名からして、なにやら怖ろしさを感じるのですが、この社会のパラダイムの転換期にそれを捉えて実践されているかたたちがたくさん紹介されていますので、話の内容に骨があります。

鹿児島で、塩をつくっている知人の高橋素晴さんも紹介されてました。「そういうことだよな~」と、膝をうって納得する一文がありましたので少しだけ紹介します。

― 貧乏はきらいではなかったし、お金がなくても豊かな自給自足的生活にもあこがれるが、広がりがないと思った。経済破綻に備えた自立的な生存能力を身につけつつも、緩やかな経済性をもち同世代とともに仕事する可能性や、結局は世の人びとが翻弄されている市場経済にアプローチする発展性をもっていたいと思った。 ―
『現代農業』8月増刊号 ( 高橋素晴さん なければつくれ、仕事も文化も学校も より )

高橋さんは新潟県出身。中学三年生でヨットによる単独太平洋横断(最年少記録)を達成しています。現在は、鹿児島県の枕崎で、天然塩釜元・黒潮農場と、NPO法人アースハーバー代表を務めています。

さすが、社会の荒波にも柔軟に対応しつつ、しっかりと航海しています。見習わなければ!

その他にも、1978年に高知で使命をもって「なんぷう」という教育雑誌を創刊した方の話や、その出版社がその編集能力をいかして、「本」だけではなく、「地域」を編集し、同じ志をもつ人たちを繋ぐ活動をしていたり、現代の社会と農業を考察した内山節氏の文章などは、示唆に富んでいてとても勉強になります。

現在発売中ということです。お薦めですよ!


増刊 現代農業
http://www.ruralnet.or.jp/zoukan/

黒潮農場
http://simple-salt.jp/

2009年07月07日

置き土産  【エッセイ・晴写雨綴】UP

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置き土産  【エッセイ・晴写雨綴】
http://www.pawanavi.com/hyuugajikan/archives/2009/07/post_473.html

置き土産
 行きつけの喫茶店で記事をまとめていると、「どこにあるか場所が分からんかったよ~!」と、大きな声をあげながら日に焼けた男性が入ってきた。
 怒っているわけではなさそうだが、地声が大きい。ウェイトレスのお姉さんもびっくりしている。さっきから「まさこさ~ん!」と、うどん屋のまさこさんの名前を連呼する大声が聞こえていたが、きっと、この人だろう。
 高千穂の言葉とはイントネーションが違う。なにより、こんなに勢いよく大声で話す人は、高千穂にはいない。どこからきたのだろう?

 男性のテンションの高さについていけずに、ウェイトレスのお姉さんが、苦笑いしていたので、どこから来たのですかと?と、水を向けた。
 男性の目はギラギラととても野生的だ。彼は、佐賀から有明海の海苔の養殖に使う、使い古したネット(網)を販売に来ていて、今日は天岩戸神社に参拝した後温泉に入り、うどん屋でおばちゃんたちとお喋りしたことを大きな声でひととおり語ってくれた。
 なんだか、彼の人間味あふれる話し方に好奇心がくすぐられる。なにより、知らない土地でも、積極的に最初から自分のペースで喋れるのは、とても羨ましい。
 
  「取材?」。今度は、彼のほうが訊いてきた。テーブルの上にカメラを置き、ノートを広げていたので、そう思ったのだろう。別の取材の記事をまとめていることを伝えると、「東京からきたの?」と、すぐに質問が返ってくる。地元で、写真の仕事をして、文章を書いていることを伝えた。自分が編集長として作った雑誌もみてもらった。
 四冊とも目をとおすと、購入したいと申し出てくれた。「こうやって雑誌として自分の考えを後世に伝えていくことは素晴らしい仕事で、今はお金にならなくても、きっと後からみんな頼ってくるよ」。と、励ましてくれた。

 創刊号の特集が、地球温暖化で最初に沈む国、といわれる“ツバル”の内容だったので、強く魅かれたようだ。彼が佐賀から持ってきた養殖ネットも、彼が漁師仲間から集めて販売するまでは、そこら辺で燃やされていた。「子どもたちに良い環境を残す」。ずっと言われ続けてきたことだが、それとは反対な方向に社会がむかってきたのは、宮崎でも佐賀でも同じことなのだ。
 
 どうして、養殖ネットを高千穂のような山村で販売するのかと訝しがる人もいるかもしれないが、高千穂の抱える大きな問題として獣害がある。高千穂ばかりではなく、多くの山村で同じことがおこっているのではないだろうか?
 鹿や猪が里まで下りてきて、田畑の作物を食べ散らかすのだ。それだけではなく、山の木々の新芽を食べ、角で成木の皮を削って剥いてしまう。里も、山も荒れ、土砂災害がおこる一因にもなっている。猟師の高齢化や人手不足もあり、予防としては、自分の田畑をネットや電気柵で囲み、獣が入れなくするするしか、具体的な策が無い。

 実際に見せてもらうと、長さが十メートル以上ある。目は大きく、ほのかに潮の香りがする。海で使われているものだから、丈夫で、十年ぐらい日に晒していても大丈夫。それが、軽トラの荷台いっぱいに、積まれている。
 彼も海苔を養殖していて、暇な時期にこうして行商をするのだ。雨が降る日は、軽トラの中で眠り、晴れればベンチがあるところで野宿をする。無理をすれば一日で完売させてしまうこともできるが、その街を観光し、人との出会いを目的としているので、三日、四日かけて販売する。
 
 歳は三十八歳。僕と五歳しか変わらないのだが、たくましさには格段の差がある。そんな彼でも悲しいことがある。それは、自分が持ってきたものが何に使うものかを説明する前に、拒絶されることだ。
 「昔の日本は、もっと開けっぴろげだったと思うんだよ、知らない人がきたら、みんな集まってきて、ああでもないこうでもないと大声で話す。今は、最初から人を疑って、内容をみないで、値段だけをみる。そういうときは、売れなくて残念とかじゃなくて、ただ、悲しいよね」。

 これは、使い捨てできる便利なものが、安くで、いつでもいくらでも手に入れることができる社会になったことが原因だと思う。物が少ない昔は、奪われることを心配するよりも、共有しあうことのほうが多かったはずだ。少なくとも、会話を楽しむ余裕があっただろう。
 今はその余裕がない。人をみたら、犯罪者と思え。獣から作物を守るために、田畑をネットで囲むように、自分の心を金と物で囲んで、他者との接点をもたないようにしている。

 「それでも、田舎に行くと心優しい人もたくさんいるので、大丈夫だと安心するんだよ」。彼はそう言うと、今度は、マンゴーを求めて、西都市へ向けて出発した。

 見送りした後、帰りがけに、たまたまうどん屋のまさこさんと出合った。男性とは、知り合いなのかを訊ねてみると、案の定、知り合いではないという。
 「いらんて言ったとに、網を一つおいていったとよ」。言葉とは裏腹に、まさこさんは、満面の笑みだ。どうやら、彼の置き土産は、養殖ネットだけではなさそうだ。