GALLERY 『MU-RA』 田井元
GALLERY 『MU-RA』 田井元
http://www.pawanavi.com/mura/vol13/index.html
今回のGALLERY 『MU-RA』は、上野地区田井元集落。五月下旬に撮影しました。
高千穂地方の田は、山の斜面を削って拓いているところがほとんどです。なので、一つひとつの面積も小さく、形もいびつです。田植えは、小さな田植え機を使ってするところが多いのですが、田の形がいびつなため、機械では植えられないところを手で行なうこととなります。
今回、手植えをする農家を撮影していて思ったのですが、その動きは夜神楽の動きに似ています。夜神楽も、舞っているあいだは、動きがとまるところがありません。本当に、蝶が舞っているように、ひらひらと、そして、ときに激しく動きます。手植えも同じで、苗を右手に持って植えたかと思うと、その右手はすぐに田から抜いて、左手に持っている苗の塊から、数本の苗をとります。そして、また植える。その一連の流れに止まるところはなく、まさに、舞っているようです。そして、瞬く間に植えていきます。
農家のかたに、「速いですね~」と、声をかけると、「なぁ~んが、昔の人はもっと速かったとよ」との返事が返ってきました。今は、苗をトレーで一苗ずつ育てているので、最初から分かれているのですが、昔は、塊のまま。それを左手でちぎりつつ、右手で植えていく。その速さは、今の比じゃないそうです。、他の農家にも訊いてみたのですが、皆、同じような答えが返ってきます。その姿を、見て、驚きたいものです。今でも、手植えだけの農家も少しはあるそうです。
この後、高千穂地方では、雨が降らず、水不足で今でも二割ほどの田植えが終わっていないそうです。今週、来週の雨で多少は解消されるでしょうが、自然を相手にする農業ははたから見ると本当に大変そうです。だから、その分、大きな喜びがあってほしいなと思います。そのエネルギーをもらって、僕たちは暮らしているのですから。