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2009年06月28日

GALLERY 『MU-RA』  田井元

GALLERY 『MU-RA』  田井元
http://www.pawanavi.com/mura/vol13/index.html

今回のGALLERY 『MU-RA』は、上野地区田井元集落。五月下旬に撮影しました。

高千穂地方の田は、山の斜面を削って拓いているところがほとんどです。なので、一つひとつの面積も小さく、形もいびつです。田植えは、小さな田植え機を使ってするところが多いのですが、田の形がいびつなため、機械では植えられないところを手で行なうこととなります。

今回、手植えをする農家を撮影していて思ったのですが、その動きは夜神楽の動きに似ています。夜神楽も、舞っているあいだは、動きがとまるところがありません。本当に、蝶が舞っているように、ひらひらと、そして、ときに激しく動きます。手植えも同じで、苗を右手に持って植えたかと思うと、その右手はすぐに田から抜いて、左手に持っている苗の塊から、数本の苗をとります。そして、また植える。その一連の流れに止まるところはなく、まさに、舞っているようです。そして、瞬く間に植えていきます。

農家のかたに、「速いですね~」と、声をかけると、「なぁ~んが、昔の人はもっと速かったとよ」との返事が返ってきました。今は、苗をトレーで一苗ずつ育てているので、最初から分かれているのですが、昔は、塊のまま。それを左手でちぎりつつ、右手で植えていく。その速さは、今の比じゃないそうです。、他の農家にも訊いてみたのですが、皆、同じような答えが返ってきます。その姿を、見て、驚きたいものです。今でも、手植えだけの農家も少しはあるそうです。

この後、高千穂地方では、雨が降らず、水不足で今でも二割ほどの田植えが終わっていないそうです。今週、来週の雨で多少は解消されるでしょうが、自然を相手にする農業ははたから見ると本当に大変そうです。だから、その分、大きな喜びがあってほしいなと思います。そのエネルギーをもらって、僕たちは暮らしているのですから。

GALLERY 『MU-RA』  花の群 草の原

GALLERY 『MU-RA』  花の群 草の原
http://www.pawanavi.com/mura/vol12/index.htmlhttp://www.pawanavi.com/mura/vol12/index.html

美しい名前だと思います。【花の群】と【草の原】。
昔は、旧道に接し、賑わっていたこの二つの集落も、今では、ずいぶん人が減ったそうです。

五世帯の【花の群】を歩くと、空き地にタンポポが咲き乱れておりました。そこには、「危険住宅移転跡地」と書いてある杭が刺さっています。「居室等を有する家屋の建設はできません」とも書かれています。周りには、村人が暮らしているのですが、この集落自体が、危険地域に指定されているそうです。

六世帯の【草の原】は、きれいに棚田が守られています。小川には、あぶらめ(小魚)の姿もみえます。
農作業をしているぼってりとお腹のでたおじいさんが、「何百年も続いてきたこの村も俺の代で終わりよ~」。なんて、いうものだから、とても切なくなりました。本人たちのほうが、もっと切ないのだと思いますけど…。

生半可なことでは、なんともならないのでしょうが、何とかならないもんかな~などと、責任のないところで、思ったりしました…。